防災機能付きマンションが竣工以来満室

災害時は太陽光発電で3日間電力供給可能
広いエントランスと内廊下、高い天井が魅力
「災害時に電気がつかえないと不安」。こう考えて災害時の電源を用意したマンションを建設したのは『フクロク・レーヴ・マンション』オーナーの鈴木智久氏だ。
屋上には99枚のソーラーパネルを設置。地下1階のバッテリー室には、180本もの蓄電用バッテリーを設置している。発電力はPV約24kW。非常時電力は6時間で約20kWとされている。発電監視は、ITで完全自動化されており、発電・発灯は遠隔で制御・閲覧操作できる。
災害時にライフラインがすぐに復旧するとは限らない。災害発生時には、蓄電池からエントランスをはじめ共用廊下、インターネット防災設備などに3日間電力が供給されるうえ、それ以降も太陽光発電により蓄電された電力が供給され続ける。そのためエントランスには、コンセントと誰でもトイレや発電に関する情報などが分かるモニターを設置した。
「エントランスのコンセントは非常時だけでなく、クリスマスシーズンにツリーを飾り、花粉症のシーズンには空気清浄機を稼働させて花粉を部屋に持ち込まないようにしています」(同氏)。平常時も災害発生時もマンションで快適に暮らせるように配慮された住まいだ。
通常、11階以上、延べ床面積が1000㎡以上のマンションには、停電時にも利用できる非常用コンセント設備が必要だ。だがそれらの設備は、あくまでも非常時に条坊隊員などが使用するもので同マンションのように考えられて建てるケースはまれだ。
さらにこだわった点は、広いエントランスと各住戸の天井高を約2700㎜とすることで開放的な居住空間とした点だ。ボイドスラブ工法を採用することで、梁のあまりない美しい室内を実現した。また内老化を採用。生活環境の変化に対応できるように、LDKの扉をオープンにするとやく18・5~19・9㎡の空間とした。
入居者ターゲットを20代後半から30代のファミリー層としたところ、実際も同様の入居者が多かった。
決め手となった理由は「内廊下は賃貸マンションでは珍しい」「外観と広々としたエントランスの雰囲気が良い」点だった。エントランスが広くきれいなため、友人受けもよいという。その他には敷地内に駐車場があった点や、管理人室があった点も高評価であった。

全国賃貸住宅新聞 第1369号(2019年6月10日)掲載