TOKO OA SYSTEM
太陽光発電エネルギー100%による無停電サーバー・集合住宅用電力供給システムを提供

パブリシティ 2019年3月1日

災害発生時にもマンションで暮らし続ける在宅避難を可能にする太陽光発電システム

マンションタイムズ 3/1号掲載
新時代の管理運営を探る
マンション管理士/TALO都市企画代表
飯田 太郎

大地震等が発生したとき、マンション居住者は建物が重大な損傷をうけなければ在宅避難をするという考え方が定着してきた。堅固な不燃建物であるマンションは倒壊や炎症の恐れが少ない。実際に阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震等でもマンション居住者が死亡したケースはほとんどない。被災後も避難所に行かず自宅であるマンションにとどまり生活を継続した人も少なくない。しかし、階段で昇り降りできる中層階までならばともかく、エレベーターが不可欠な高層、超高層マンションで生活を続けることは容易なことではない。「うちはタワマンだから非常用発電機や非常用エレベーターがある。大地震等が起きても大丈夫」と考えている管理組合や居住者がいるが、本当に安心していられるだろうか?マンションの非常用電力の現状と電源確保の可能性を考える。

マンションの非常用発電機は消防用 居住者の生活継続目的ではない

東京都は大規模な延焼火災の恐れがなく、広域的な避難を要しない区域を「地区内残留地区」として千代田区全域や赤坂・六本木、豊洲・有明等の37地区、約1万1100haを指定している。自治体が発行するマンションの管理組合や居住者向けの防災の手引等のなかにも在宅避難を推奨するものがある。東京・港区は「マンション震災対策ハンドブック~在宅避難のすすめ~」を発行、新宿区の「中高層マンションの防災対策~マンション防災はじめの一歩~」も「避難所は住居を失った人たちの生活の場です。建物に被害がない時には、在宅避難をしましょう」としている。

中央防災会議の「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」によれば、発災2週間後の避難者は約720万人にのぼる。避難所に収容されるのは約290万人、残りの約430万人は避難所外にいると推計している。マンションの居住者が在宅避難をすることは、災害対策全体にとっても大きな意味をもつことになる。

問題は在宅避難を支える電源の有無である。

たしかに建築基準法や消防法は一定以上の高さや規模のマンションに非常用設備の設置を美無づけている。建築基準法は非常用エレベーター、排煙設備、排水設備、非常照明などの設置、消防法もスプリンクラー・消火栓用ポンプ、排煙設備、非常放送設備、誘導灯、非常コンセントなどの設置を定めている。電源についても建築基準法は30分以上連続運転できる「予備電源」の設置、消防法も消防用設備等を60分以上継続して使用するため、2時間分以上の燃料油を持つ「非常電源」の設置を義務づけている。「予備電源」「非常電源」と呼称は異なるが、電源を設置する場合は電気事業法の定める技術基準を満たす必要がある。

これらの規定により31階建て以上のマンションには非常用エレベーターと、これを動かす非常用発電機が設置されている。しかし、こうした設備はあくまでも消防隊が使用することが前提であり、居住者がマンション内で生活継続を支えるためのものではない。居住者のためには内廊下や階段の誘導灯があるが、避難を助けることが目的だから30分間点灯すればよいことになっている。ほとんどのマンションは自信による停電後、数時間で真っ暗な状態になる。居住者が災害時に生活継続するための電源設置を定めていないことは、マンションが普及した現在、都市居住の実態を考慮しない制度上の「欠陥」といっても過言ではない。

太陽光発電で生活に必要な電気を供給する賃貸マンション

こうしたなかで災害に備えて居住者のための電源を設けた賃貸マンションがある。埼玉県川口士の「フクロク・レーヴ・マンション」だ。14階建て、64戸のファミリー向けマンションだが、オーナーの(株)福禄・鈴木清久社長の、居住者のために災害時の電源を用意したいとの強い想いで、地上約50mの屋上にソーラーパネルを99枚設置、蓄電用のバッテリー180本を地下1階のバッテリー室に設置している。発電量は約24KW。平常時は共用部の商用電力の節電に寄与し、災害発生時にはライフラインが復旧するまで蓄電池から通路、ロビー、インターネット、防災設備などの共用部に3日間電力を供給できる。これに太陽光発電により継続的に供給される電力が加わる。

屋上のパネルから地下1階のバッテリーまでの総送電距離は100m以上あるが、途中の電力損失を低減するため直流400Vの高電圧で送電している。これらの設備を安全に稼働させるため、雷検知、天候測定器、漏電センサー、漏水センサー、バッテリー電圧/温度センサー等を使い24時間監視、異常の際には自動的に安全稼働する制御システムと管理者に状況を知らせるメール機能もある。マンションのロビーには、その時点の天気や発電、給電状況がディスプレイ表示され、住人も稼働状況を確認することができる

蓄電装置も数グループに分け、日射量の変化とバッテリー充電状況に応じた充電系をを選べるようにしている。放電についても規定値まで充電された蓄電池グループから優先的に電源供給を行う全自動バッテリー交換システムを採用している。

太陽光で発電した電気は共用部分で24時間消費されるが、商用電力を使用した場合に比べ電気代を96%削減することができる。

マンションの設計を担当したのは(株)翔設計。マンション改修設計コンサルタント協会(MCA)の会長会社として知られているが、多くの新建築物の設計も手がけている。改修コンサルタントとして経験から、メンテナンスが容易で長く快適な生活のできるマンションとは何かを熟知している。太陽光発電装置を担当した(株)東光オーエーシステムは、全国のアパレル関連の企業を対象に業務インフラを提供する「トータルアパレルシステムハウス」。太陽光発電所を所有、発電した電力を効率よく安定的に顧客に連続供給するノウハウを蓄積している。

この両社、実は福禄の本社ベル(渋谷区)のテナントだ。一つ屋根の下で仕事をする3社のコラボレーションにより、賃貸・分譲を通じて珍しい太陽光発電による災害対策の電源システムを備えたマンションを市場に供給した。

福禄の鈴木社長によれば、マンションの敷地はかつて川口に多数あった鋳物工場の一つだった。長年、地域の方たちにお世話になった土地に建てるマンションを、少しでも皆さんに役立つようにしたいと考え、飲料水、食糧、毛布などを備蓄、CO2を排出しないクリーンエネルギーの太陽光発電による電源も設けたという。

マンションづくりを「まちづくり」と考えることで、建築基準法や消防法が求める最低基準を超える非常用電源を備えたマンションが広がることを期待したい。

マンションタイムズ 第405号(2019年3月1日)掲載

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